行政書士あなたの法務事務所 ℡097-547-8377

一般社団法人について

 
 一般社団法人とは営利を目的としない非営利団体のうち、法人格を有し、設立の登記をすることによって成立する法人のことをいいます。
 設立のあたっては社員が2名以上いることが必要となります。この「社員」とは、従業員のことではなく、出資者のことをいい、株式会社における「株主」に相当します。この社員は「設立時」に2名以上いればよく、「設立後」に1名となってしまっても存続が可能です。よって営利を目的としない人の集まり(団体)であれば、誰でも一般社団法人となって法人格を取得することができます。
 
 

―「営利を目的としない」の意味―

 
 
 「営利を目的としない」「非営利」とは、法人の得た利益(剰余金)を社員に分配しない、ということを意味しています。株式会社では、会社に利益がでれば、株主に対して株式数に応じた利益配当(剰余金の配当)を行うことができますが、一般社団法人は営利を目的としないので、利益がでても分配を行うことができません。この「利益の分配」には従業員に給料を支払ったり、役員に報酬を与えることは含まれておりません。
 よって、一般社団法人が収益事業を行い、そこで得た収益から従業員へ給料を支払うことや、社会活動の活動資金に利用することは問題なくできます。
 
 

一般社団法人の特徴

 
 

―名称に「一般社団法人」の文言を用いる―

 
 
 一般社団法人は名称に「一般社団法人」の文言を必ず使用しなければなりません。
 
例 「一般社団法人ふじさわ協会」「ふじさわ一般社団法人」
 
但し、「一般社団ふじさわ法人」のような名称は認められません。
 
 

―少人数で設立が可能―

 
 
 前述のとおり、一般社団法人は社員が2名以上いることが必要で、また、役員として理事を1名選任しなければなりません。理事に関しては、社員が理事を兼ねることもできますので、社員2名という少人数での設立が可能です。(ただし、後述する非営利型一般社団法人の場合は、理事3名以上、監事1名以上の選任が必要です。)
 
 

―少ない資金で設立が可能―

 
 
 株式会社のような、資本金制度がなく、資産は0円であっても設立が可能です。ただし、定款認証代として52,000円、設立登記の登録免許税として60,000円の法定費用が別途必要です。
 
 

―短期間での設立が可能―

 
 
 一般社団法人は登記をすることが設立要件となります。設立には株式会社と同様に、公証役場での定款認証手続きと法務局への登記申請が必要であり、おおよそ2週間~3週間程度で設立をすることが可能です。
 
 

―様々な事業を行うことが可能―

 
 
 一般社団法人が行うことができる事業については、他の法律で禁止されていない限りは特に制限はありません。
株式会社は原則として営利を目的とする営利事業しか行えず、NPO法人は主な事業が非営利事業でなければならないのに対し、一般社団法人は非営利事業、営利事業、収益事業、共益的事業(会員共通の利益を図る活動)、公益事業(不特定かつ多数の人の利益を増やすことを目的とした事業)など、様々な事業を行うことが可能です。
 一般社団法人に適した事業としては、会員から集めた会費を収入源とする「会員ビジネス」や、「大分県歴史検定1級」のような技術認定を行い、受験料や登録料を収入源とする「ライセンスビジネス」などがあります。
 
 

―基金制度―

 
 
 「基金制度」とは、一般社団法人において事業資金等を拠出してくれる人を募集することが出来る制度です。基金制度で集めた資金は一種の外部負債であり、法人には返済義務が生じます。(但し、基金の返還にかかる債権には利息をつけることができません。)基金の拠出者の地位は、一般社団法人の社員たる地位とは結びつきません。そのため、社員が基金の拠出者となることもできますし、ならないこともできます。基金制度は、剰余金の分配を目的としない一般社団法人の性質を維持しつつ、その活動の原資となる資金を調達し、その財産的基礎の維持を図るための制度です。
 一般社団法人では基金制度の採用は義務付けられていないので、採用するかどうかは法人が任意に決定することができます。基金として集めた金銭等の使途に法令上の制限はなく、一般社団法人の活動の原資として、自由に活用することができますが、一般社団法人においては剰余金の分配はできないので、基金を社員へ分配することはできません。
 尚、基金を設置する場合は、定款にその旨の記載が必要となります。また、基金制度を一度でも設けたら、後に制度を廃止することができませんので、導入に際しては注意が必要です。
 
 

法人税法上の優遇措置について

 
 

要件を満たせば法人税法上の優遇を受けることも可能

 
 
 一般社団法人は株式会社などと同様に、基本的には収益に対して課税されます。ですが、一般社団法人のままであっても、非営利性が徹底されている法人や、共益的事業を目的とする法人は、法人税法上「非営利型一般社団法人」という扱いになり、NPO法人等と同様に収益事業以外の所得(寄付金や会費収入等)には課税されないことになります。
 また、公益事業を主たる目的としている一般社団法人は、公益認定を受けることで、公益社団法人になることができ、法人税や登録免許税など、税金面で優遇措置を受けることができます。
 消費税の場合は、たとえその行う事業が法人税法上の非課税事業であったとしても、その行う取引が消費税の課税取引に該当すれば消費税が課されることになります。しかし、消費税の課税取引を行うすべての事業者に消費税の申告が必要となるわけではありません。消費税の申告には免税点があり、基準期間(通常、前々事業年度)の課税売上高が年間1,000万円以下の場合には、納税義務が免除されるという制度があります。この他にも“仕入税額控除の特例”や“簡易課税制度”がありますので、それぞれの社団法人に適した方向性を見つけていく作業が必要となります。
 

収益事業について

 
 
 非営利型一般社団法人については、上記で述べたように原則として法人税は非課税となりますが、法人税法上の収益事業である下記34業種を行う場合は、法人税の課税対象となります。但し、34業種に該当する場合でも、個別に非課税事業として認められるケースもありますので、詳しく知りたい方は税務署でご確認ください。
 
34業種
 物品販売業/不動産販売業/金銭貸付業/物品貸付業/不動産貸付業/製造業/通信業/運送業/倉庫業/請負業/印刷業/出版業/写真業/席貸業/旅館業/料理店業他/周旋業/代理業/仲立業/問屋業/鉱業/土石採取業/浴場業/理容業/美容業/興行業/遊戯所業/遊覧所業/医療保険業/技芸教授業/駐車場業/信用保証業/無体財産権提供/労働者派遣業