合同会社(LLC)設立について
合同会社の設立件数は年々増加しています!
まず、合同会社について簡単にご説明致します。
合同会社(LLC)は、日本の会社形態の1つで株式会社と同様に法人格があります。世間一般的には規模が小さな会社というイメージですが、小規模閉鎖的な株式会社と比較した場合に限り、実態としてはほとんど違いはないといえます。会社を設立する場合、大多数の方が「株式会社」の形態を選択していますが合同会社の制度が開始されて以後、「合同会社」を設立する件数は年々増加しています。(以下、法務省統計)
年 | 合同会社の設立件数 | 株式会社の設立件数 |
2006年 | 3,392件 | 76,570件 |
2007年 | 6,076件 | 95,363件 |
2008年 | 5,413件 | 86,222件 |
2009年 | 5,771件 | 79,902件 |
2010年 | 7,153件 |
80,535件 |
2011年 | 9,130件 | 80,244件 |
2012年 | 10,889件 | 80,862件 |
株式会社を設立する件数と比べればまだまだ少ないですが、会社を設立(法人化)する上で、株式会社ではない別の選択肢として認知され、全国的に徐々に支持を増やしているようです。
ではこの合同会社とはどんな会社なのか?合同会社を設立する場合のメリット、デメリットを簡単にご紹介していきます。
合同会社のメリットとデメリット
メリット1 設立費用が安い
合同会社は定款認証が不要なので、株式会社と異なり、定款認証手数料の52,000円がかかりません。また、法務局に収める登録免許税も、株式会社では最低150,000円必要ですが、合同会社は60,000円ですみます。結果、会社の設立費用だけでも、株式会社を設立するよりも合同会社を設立するほうが、142,000円も節約できることになります。
メリット2 役員の任期がない
株式会社では役員の任期が終われば、役員の変更の登記を申請しなければなりません。合同会社の業務執行社員(株式会社における取締役のような立場)にはそもそも任期がないので、交代や退職しない限り役員の変更登記を行う必要はありません。
メリット3 決算報告義務がない
合同会社には、株式会社のような決算報告義務がないので、官報公告(料金59,126円)や電子公告を用いて決算を公表する必要はありません。(但し、決算書を作成する義務あります。)
メリット4 利益配当が自由
株式会社の場合、会社に出資した金額(持っている株式の数)に応じて、利益を株主に配当します。しかし、合同会社では定款に定めておけば、出資額に関係なく利益の配当割合を自由に設定することができます。よって、会社にとって有益なアイデアやノウハウを提供したり、高度な技術を提供した社員に対して、その社員の出資額が低かったとしても会社への貢献度を考慮して利益の配当割合を高く設定する、といったことが出来るようになっています。
メリット5 株式会社への形態の変更が可能
合同会社の社員全員の同意があれば、株式会社への会社形態の変更(組織変更といいます。)が可能です。よって、会社のスタート時には初期費用の安い合同会社で事業を展開していき、将来的に業績が上がり、事業を拡大させたい場面で株式会社に移行するといった方法をとることができます。
デメリット1 事業の拡大には不向き
合同会社は少人数の社員によって運営することを想定して作られた会社形態です。小規模閉鎖的であるため、出資者(社員)の加入や脱退には、社員全員の同意が必要となり、社員の人数が増えるほどに迅速に対応したい場面で「社員全員の同意」が足枷となってしまいます。この足枷によって出資金集めに支障をきたしてしまえば、当然事業の拡大にも影響を及ぼしてしまいます。よってメリット5でも述べたように、事業の拡大を計る場合には株式会社へ組織変更するか、もしくは将来的に事業を拡大するつもりで会社を設立するのであれば、初期費用は高くなりますが、最初から株式会社を作った方が良いでしょう。
デメリット2 認知度が低い
合同会社の一番のデメリットは、一般的な認知度が低いということです。年々、合同会社を設立する件数は増加していますが、制度が完全に定着している欧米に比べれば、まだまだ世間一般に認知されていない、というのが現状です。また、合同会社は小規模閉鎖的な会社という印象があり、かつ、決算報告義務もないため、取引先や融資先が合同会社の実態を把握できず、結果、信用度の面で不安を与えてしまうかもしれません。
まとめ
メリット、デメリットを踏まえ、以下の項目に当てはまるお客様には合同会社設立をおすすめ致します。
●将来的に株式会社への組織変更を視野に入れ、ひとまずは設立の初期費用を抑えたいという方
●許認可を取得するために法人格が必要で会社形態には特にこだわらない方(介護事業を展開させたいお医者様など)
●社内ベンチャー企業など、既存の会社に加え、もう一社手軽に会社を作りたい方
●会社名を前面に出さずに商売をされる方
●開業当初に大きな資金を必要としない業種の方