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非営利型一般社団法人の要件

 
 非営利型一般社団法人となるためには、「非営利性が徹底された法人」または、「共益的活動を目的とする法人」でなければなりません。以下がその要件となります。
 
 

―「非営利性が徹底された法人」の要件―

 
 
①定款に、剰余金の分配を行わない旨の定めがあること
②定款に、解散した時は残余財産を国もしくは地方公共団体または公益法人に帰属する旨が定められていること
③上記①、②の定款の定めに違反した行為(上記①、②、及び下記④の要件に該当していた期間において、特定の個人又は団体に特別の利益を与えること(注1)を含みます。)をしたことがないこと
④各理事について、その理事及びその理事の配偶者又は3親等以内の親族その他のその理事と一定の特殊の関係にある者である理事(注2)の合計数が、理事の総数の3分の1以下であること
※つまり、一般社団法人が非営利型法人になるためには、少なくとも3名以上の理事が置かれていることが必要となります。
 
 

―「共益的活動を目的とする法人」の要件―

 
 
①会員(社員)に共通する利益を図る活動を行うことを目的としていること
②定款(定款に基づく約款その他これに準ずるものを含む)に、会員が会費として負担すべき金額の定め、又は会費の金額を社員総会若しくは評議委員会の決議により定める旨の記載があること
③主たる事業として収益事業を行っていないこと
④定款に、特定の個人または団体に剰余金の分配を受ける権利を与える旨の定めがないこと
⑤定款に、解散した時は、その残余財産が特定の個人または団体(国若しくは地方公共団体、または公益法人を除く)に帰属する旨の定めがないこと
⑥上記①~⑤及び下記⑦の要件のすべてに該当していた期間において、特定の個人または団体に剰余金の分配その他の方法(合併による資産の移転を含む)により、特別の利益を与えること(注1)を決定し、または与えたことがないこと
⑦各理事について、その理事及びその理事の配偶者又は3親等以内の親族その他のその理事と一定の特殊の関係にある者である理事(注2)の合計数が、理事の総数の3分の1以下であること
※つまり、一般社団法人が非営利型法人になるためには、少なくとも3名以上の理事が置かれていることが必要となります。
 
 
(注1)「特別の利益を与えること」とは、たとえば以下に掲げるような特定の個人又は団体に対する経済的利益の供与又は金銭その他の資産の交付で、社会通念上不相当なものをいいます。
 
(1) 法人が、特定の個人又は団体に対し、その所有する土地、建物その他の資産を無償又は通常よりも低い賃貸料で貸し付けていること。
(2) 法人が、特定の個人又は団体に対し、無利息又は通常よりも低い利率で金銭を貸し付けていること。
(3) 法人が、特定の個人又は団体に対し、その所有する資産を無償又は通常よりも低い対価で譲渡していること。
(4) 法人が、特定の個人又は団体から通常よりも高い賃借料により土地、建物その他の資産を賃借していること又は通常よりも高い利率により金銭を借り受けていること。
(5) 法人が、特定の個人又は団体の所有する資産を通常よりも高い対価で譲り受けていること又は法人の事業の用に供すると認められない資産を取得していること。
(6) 法人が、特定の個人に対し、過大な給与等を支給していること。
なお、「特別の利益を与えること」には、収益事業に限らず、収益事業以外の事業において行われる経済的利益の供与又は金銭その他の資産の交付が含まれることに留意します。
 
 
(注2)「理事と一定の特殊の関係にある者」は、以下の通りです。
 
(1) 当該理事の配偶者
(2) 当該理事の3親等以内の親族
(3) 当該理事と婚姻の届出をしていないが事実上婚姻関係と同様の事情にある者
(4) 当該理事の使用人
(5) (1)~(4)以外の者で当該理事から受ける金銭その他の資産によつて生計を維持しているもの
(6) (3)~(5)の者と生計を一にするこれらの者の配偶者または3親等以内の親族
 

一般社団法人(一般財団法人)から非営利型法人への変更手続きについて

 
 
 設立時には非営利型に該当していなかった一般社団法人又は一般財団法人が、設立後に非営利型一般社団法人又は非営利型一般財団法人の要件を満たした場合には、税務署、都道府県税務署、市区町村の法人税担当部署に「異動届出書」を提出することにより、以後は非営利型法人として税務申告を行うことができるようになります。
 ですが法人税法上、非営利型法人になったとしても、必ずしも永続的に非営利型法人として認められるというわけではなく、法人税法上の要件を満たさなくなった場合には営利型法人とみなされてしまいます。営利型法人とみなされれば、それまで非課税とされていた部分について累積課税されてしまいます。この非営利型法人か、営利型法人かの判断は、上記の「非営利型一般社団法人の要件」のそれぞれの項目に該当するかどうかで判断されることになりますが、要件の中には、事実認定の部分があるため、たとえ法人側が自分達を非営利型法人であると認識していたとしても、税務調査によって、営利型法人と判断されてしまう可能性もあります。よって、非営利型法人と認められた場合でも、それ以降も法人税法上の要件を満たしているか常に注意を払う必要があります。